第1回折り紙の数学・科学・教育研究集会

12/17(日)に「第一回折り紙の数学・科学・教育研究集会」が白山のJOASホールで行われました。今年の9月に開かれた4OSMEに触発されて、日本でも「折紙」という観点から研究成果を発表する機会を設けようということで始まった会です。
三浦公亮先生がミウラ折りについて、三谷純先生がコンピュータと折り紙について、池上牛雄さんがフラクタル折り紙について、発表され、私は剛体折り紙シミュレーションと三次元折り紙設計について話しました。
非常にディープな折紙研究話が聞けて、また濃い話が発表できて素晴らしい会でした。4OSMEではプログラム上聞けなかった話やその後進んだ研究の話が日本語で聞けたのが収穫でした。折紙研究者・折紙愛好家がたくさん集まる貴重な機会となり、まだまだ話し足りない感触もありましたが、また間を空けて第二回を開く話もあるので次回の楽しみです。

以下、新しく知ったこと驚いたことなどのメモ。
三浦先生の発表について。ミウラ折りは物理的な問題を起点とした問題の解であるが、吉村パターンから類推した折紙的予測がシミュレーションを動かす以前に立っており、見事シミュレーション結果と一致した物であった。折紙的にも数値実験的にも両方向から導かれているというのが面白いと思う。

池上さんの発表について。フラクタル折紙は展開図もフラクタルになるが、出来上がりと展開図上で比較した時の対応関係が面白い。長さが無限になってしまう曲線はやはり、展開図上でも無限の長さをもった曲線として存在している必要がある。という理論的な話のほかに、手作業でパターンを発見していく奥深さも感じました…。

三谷先生の発表について。山谷付きの展開図を与えた時の重なり順を求める問題は一般にはNP完全であるが、ねじり折りの条件を外して、上手く枝刈りしてやればちゃんと実用になりうるものである、ということ。なんとなく無理そうだなぁと諦めてしまうものが動いているというのは刺激的でした。「『兜』の山谷付き展開図からは9通りの折り方がある」という導かれた事実だけでも刺激的です。