第2回折り紙の科学・数学・教育研究集会

26日に白山で第2回折り紙の科学・数学・教育研究集会が行われました。
午前中はいわゆるHuzita-Justin Axioms (Huzita-Hatori Axioms)についてのお話。
http://www.langorigami.com/science/hha/hha.php4
この話は表現や前提があいまいだったりして何かと議論が絶えない。以下のようなことを確認しました。

  • まず「七つのAxiom(公理)」ではなくて「七つの操作」である
  • 無限の直線を折る単純な操作のみに関する話であって、平坦頂点折りなどの半直線の折り線や、重なった紙を折る手順は含んでいない。
  • AとBを重ね合わせる時、AとBの包含関係によって違う操作としてカウントしている
  • 七つの操作は必ずしも独立ではない。(組み合わせれば他の規準を作ることができる)
  • 任意角の三等分が出来るのは円とコンパスで作図できない手順6のおかげである。

午後からは、川崎敏和さんの「AB=A'B'を満たす四角形ABB'A'の折り畳みに関する一考察」。私の「稜線襞分子」は襞が縦に立つように畳む折り線なのに対し、こちらは二本の直線を使って平たく潰す問題。この問題は円錐の押しつぶしの問題に置き換わって折り線の関係性は分かりやすい関係性を持つという話でした。

阿部恒さんの「高校数学授業における折り紙の活用 − 1/nの正方形の問題」は、「教育」の集会らしい内容でした。お話によると、最近の小学校の教科書は三角形の内角の和が180°であることを説明するのに、三角形のカドが分解するように作られたキットを使ってカドを並べると一直線になるから180°になるんですと教えるのだそうです。それに対して折り紙を使った説明は納得いくものでした。

古田陽介さんの「コンピュータ上での対話的な折り紙形状モデリング」は、古田さんが以前からやっているバネモデルを用いたインタラクティブな折紙シミュレーションの研究についてのお話。マウスで試行錯誤で動かしているところを見ると、紙と戯れる、折る楽しみのようなものが伝わってきます。今後の発展も楽しみです。

会が終わった後、五月祭を見に行ったら企画が終わってたりなどして、夜はコマツさん、D.ワタナベさん、N.ワタナベさんと夕食を食べながら遅くまで濃い折紙談議。剛体折りの数理の話・折紙の表現の話・折り図表現の話・ヨーロッパの折紙の歴史の話など。