地上約10階の部屋からから外を見ると、夕日により黄色と青のグラデーションがかった雲が東から西へ勢いよく流れていた。窓に近づいて下を見下ろすと雲は空だけではなく地上にもごろごろと満ちていてそれが金色に光りながら流れていく。窓を開けると激しい風が音と共に体の前を通過した。しばらくポカーンと見ていると雲が西へ動いているのではなくて部屋が東へ動いているような錯覚がした。
実際のところ部屋は動いていたが、方向は逆で部屋も風に押され雲と同じ方向にゆったりと流れていた。